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故浜井元市長の著書 「原爆市長」 復刻 被災地へ 

■記者 野田華奈子

遺族や有志企画 「復興へ希望を」

 戦後初の公選で広島市長になり、街の復興に尽力した故浜井信三元市長の著書「原爆市長」の復刻版が完成した。東日本大震災の被災地に、被爆から立ち上がった広島の経験を伝えようと遺族や有志でつくる刊行委員会が企画。8月から賛同する団体が被災地に贈り、一般販売もする。

 市職員だった浜井元市長は1947年から落選をはさみ、4期16年務めた。「原爆市長」では戦争放棄や世界平和の確立をうたった初の平和宣言を読んだ思いや、平和記念公園、平和大通りの建設を進めた経緯、原爆ドームの保存運動など市政の歩みをつづった。

 原著は、中国新聞で連載した「広島市政秘話」を基に67年発刊した。今回は2006年の復刻版に写真約110点と放射線の影響の解説、年表などの資料を加えて再編集した。

 長男順三さん(75)=佐伯区=や関係者が、大震災の被災地で、被爆地からの支援に関心が高いと聞き、復刻して贈ることを考えた。順三さんや同級生で中国新聞社の今中亘特別顧問たちが委員会を設け2千部を発行した。

 うち千部は県医師会や経済団体、被爆者団体、教職員組合など賛同団体が購入し、被災地に贈る。残りは市内の書店やインターネットで販売する。被災地に贈る運動の呼び掛け人で、県医師会の碓井静照会長は28日、市役所で記者会見し「浜井市長は希望を抱いて復興に力を注いだ。本を届けて被災地を激励したい」と語った。贈り先は協議中という。

 A5判、320ページ。1400円。個人で購入して被災地に贈ることもできる。窓口は広島アキハバラ塾Tel082(557)8617。

(2011年7月29日朝刊掲載)

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