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社説・コラム

『潮流』 3年目の手応え

■平和メディアセンター編集部長・宮崎智三

 「あすの読書の時間に、中学1、2年生に読ませてみます」。知り合いの先生から早速、メールが届いた。今週から広島県内の全ての中学、高校などに配っている「学ぼうヒロシマ」。被爆者10人の証言や、原爆被害の基礎知識などを盛り込んだ24ページの平和学習新聞である。

 中高生に、核兵器も戦争もない世界を願うヒロシマの思いを知ってもらおうと、制作を始めて3年。「継続は力なり」だろうか。うれしい反応が増えてきた。

 「夏休みの課題としても考えてみたい」。メールの文面は、そう続いていた。県東部や北部の校長先生からは「昨年は朝の読書で全て読むようにした」「広島市への校外学習で使った」と聞いた。

 もちろん、「宿題」も残っている。正直、原爆や平和にあまり関心がない子どもは少なくない。どうすれば関心を持ってもらえるか。

 まずは手に取ってもらうため、昨年初めて平和に関したクロスワードパズルを載せた。大学の先生のアドバイスを即座に取り入れてみた。配ったらすぐクロスワードを解き始めた生徒がいた―。そんな話を聞き、予想以上の効果てきめんぶりに驚かされた。

 被爆70年の今年は関連のDVDも作って、学年に1本ずつ配っている。被爆証言などが柱だが、お薦めは、平和をテーマに取材・活動している中国新聞ジュニアライターの紹介だ。被爆者へのインタビューや、フラワーフェスティバルでのステージ発表などを10分余りでまとめている。

 平和や原爆といえば、とかく難しく考えがちだ。そんな感想を持つ中高生にこそ、ぜひ見てもらいたい。気負いなく、しかし真剣に「平和」と向き合う同世代のジュニアライター。その言動に、何か刺激を受けるはずだ。

 今夏、大きな節目を刻む被爆地。次世代継承の手応えをさらに確かなものにしたい。

(2015年6月25日朝刊掲載)

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