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脱原発提案を全て否決 電力9社の株主総会 再稼働の方針強調

 中国電力など原発を保有する大手電力9社は25日、一斉に株主総会を開いた。脱原発を目指す株主提案は全て否決され、終了した。今夏に川内(せんだい)原発1号機の再稼働が予定される九州電力は「一日も早く」(瓜生道明社長)と説明するなど、各電力は再稼働を進める方針を強調し、安全性を強く懸念する株主の訴えと平行線をたどった。

 中電は広島市中区の本社で総会を開催。原発に反対する株主でつくる市民団体が、原発からの撤退や島根2号機(松江市)の廃炉など5議案を提案した。経営陣はいずれにも反対意見を表明し、全てが反対多数で否決された。

 苅田知英社長は「温室効果ガスの削減を進めるため、原子力は一定比率を維持する必要がある」と説明。島根2号機と建設中の3号機について「安全性を一層高め、地域の理解を得ながら稼働に向けて最大限取り組む」と訴えた。さらに経営陣は島根1号機を4月に廃炉にしたため、電力の安定供給には上関原発(山口県上関町)の建設が「これまで以上に重要」と主張した。

 九電の総会では瓜生社長の解任を求める株主提案が否決された。瓜生社長は総会後の記者会見で「再稼働に厳しい意見があった。安全対策を説明していく」と話した。

 政府が安全の確認された原発を再稼働させる方針に基づき、2030年に原発による発電割合を「20~22%」と示してから、初めての株主総会となった。

 株主提案では、安全対策を十分に実施するまで再稼働を見合わせるよう求めたり、原発の分社化を要求したりする議案もあった。太陽光や風力などの再生可能エネルギーに積極的に取り組むよう促す議案も目立ったが、電力各社は全ての提案に反対した。

 株主提案の議案数は9社の合計で79議案に上った。大阪市や京都市も経営改革を要望した関西電力の22議案が9社の中では最も多かった。

 各電力が提案した役員人事案などは承認された。電力小売りの自由化を控え競争の激化に備えた新たな経営戦略も提示した。

(2015年6月26日朝刊掲載)

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