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現職・柏原氏が立候補表明 上関町長選 山口

 山口県上関町の柏原重海町長(65)は25日、任期満了に伴う町長選(9月1日告示、6日投開票)に4選を目指して立候補すると表明した。柏原町長は中国電力の上関原発建設計画を推進する立場で過去3度の選挙に当選してきた。上関原発の凍結状態が長期化する中、町長選では原発誘致のまちづくりを維持するのかどうかが問われる。

 町議会定例会の閉会後に議場であいさつし、「人口動態は厳しく、放っておくと基金も数年で底を突く。克服するため立候補する考えを持った」と述べた。

 上関原発は福島第1原発事故直後に準備工事が中断して4年以上が経過。政府は原発新増設について方針を示していない。柏原町長は「『外貨』獲得の手段として原子力財源は欲しい」とする一方、「原子力に希望を持つのは結構だが国策であり見守るしかない。観光など地に足の着いたまちづくりが必要」と推進姿勢を明確にしなかった。

 柏原町長は町民生課長などを経て、2003年に初当選。1982年に原発計画が浮上した後、9回の町長選全てで推進派候補が当選している。(井上龍太郎)

上関町長選の争点変容か 原発計画の凍結長期化で 現職、観光振興掲げ立候補表明 山口

 中国電力上関原発建設計画の凍結状態が長期化する中、上関町長選(9月1日告示、6日投開票)に25日、現職の柏原重海町長(65)が4選を目指し名乗りを上げた。柏原町長は原子力財源の必要性に触れる一方、原発推進・反対両派で取り組める観光振興のまちづくりを掲げた。原発の是非を最大の争点にしてきた町長選が変容するのか否か注目される。

 24日の町議会一般質問。反対派の山戸貞夫町議(65)は、風力発電機を町内に建設して売電収入を得る町の構想を「非常に合理的」と評した。前回2011年の町長選では柏原町長と対決。多くの推進派町議も賛同する構想に理解を示した。

 1982年の原発計画浮上後、町長選は原発の是非を最大の争点に展開。住民を分断し、まちづくりの歩調を鈍らせてきた。

 柏原町長は立候補表明後、「観光の町を目指し、住民サービスを維持する」と主張。人口減少に歯止めがかからない中、高齢化率は5割を超え、医療福祉分野の支出は膨らむ。こうした現状への危機感から、見通しの立たない原発誘致の姿勢を抑え、自主財源を確保する取り組みが必要との見解を述べた。

 上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水敏保代表(60)は「原発はさておき町政は評価する」と語る。原発計画に進展がない中、反対派の候補者を擁立しない選択肢にも言及する。

 一方、柏原町長を支援してきた推進派の上関町商工事業協同組合の柏田真一代表理事(40)は「廃業も多い。一日も早く工事が再開されるよう国への働き掛けを望みたい」と胸の内を明かした。(井上龍太郎)

(2015年6月26日朝刊掲載)

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