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広島で外相会合開催が決定 来年サミット前 米英仏の現職が初訪問

 政府は26日、来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ外相会合を広島市で、財務相会合を仙台市でそれぞれ開くと決めた。外相会合を被爆地広島で開くことで、核軍縮・不拡散への機運を高めるのが狙い。原爆を投下した米国の国務長官をはじめ、同じく核兵器保有国の英国、フランスの現職外相が広島市を訪れるのは初めてとなる。(城戸収)

 安倍晋三首相がこの日の閣議で表明した。外相会合に関し、岸田文雄外相は閣議後会見で「広島は原爆投下からよみがえった平和と希望の象徴。主要国の外相が胸襟を開いて率直に議論し、世界の平和、繁栄、未来への希望の思いを発信する場としてふさわしい」と意義を強調した。

 菅義偉官房長官も記者会見で「世界の多くの指導者が被爆の実態に触れていただくいい機会になる」と期待感を示した。米の国務長官の被爆地訪問には、日米の和解をアピールする目的もあるとみられる。

 世界の指導者の被爆地訪問要請をめぐっては、広島1区選出の岸田氏が、今春の核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの国際会議で訴えてきた。一方、再検討会議で日本政府が最終文書に明記するよう求めたが、中国の反対で文書案から記述が削られた経緯がある。

 財務相会合の仙台市での開催は、東日本大震災からの復興をアピールするのが狙い。

 広島、仙台両市はともにサミット候補地に名乗りを上げたものの落選。広島市は、広島県などと外相会合の開催を政府に要望していた。外務、財務以外の閣僚会合について菅氏は「地方創生も考え、開催希望がある自治体でできる限り多く開きたい」とし、各国と調整を続ける考えを示した。

 また政府は26日、杉田和博官房副長官をトップとする「伊勢志摩サミット準備会議」の設置も発表した。

被爆の実相に触れる機会に

 広島市の松井一実市長の話 非常にうれしく、光栄だ。各国外相が被爆の実相に直接触れて平和の尊さを実感し、核兵器廃絶へ揺るぎない決意を固める機会にしてもらう。それを世界に発信すれば、廃絶へ1歩でも2歩でも進む。引き続き、各国首脳にもサミットの際に広島を訪れるよう求めたい。

核の非人道性認識の共有を

 広島県の湯崎英彦知事の話 意義深く光栄。平和構築の在り方を考える機会になればと思う。各国外相に核兵器の非人道性などの認識を共有してもらうことが核廃絶に向けた基礎になる。被爆者の話を聞いたり、原爆資料館を訪れたりする機会も持てればいい。

伊勢志摩サミット
 三重県志摩市をメーン会場に、日本が議長国として来年5月26、27両日に開く主要国首脳会議(サミット)。2014、15年はウクライナ情勢を受け、ロシアが参加停止となり、日本、米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダのG7で行った。日本は来年、サミットに合わせ、外相や財務相など8以上の関係閣僚会合を開く方向。サミット自体は1975年に始まり、経済の課題を中心に年1回開催。近年は外交・安全保障、環境も主要議題になっている。

(2015年6月27日朝刊掲載)

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