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核軍縮決断へ好機 広島で外相会合 被爆者 期待高まる

 原爆を戦争で唯一使った米国の国務長官たち核兵器保有国の外相が来年、被爆地に立つ。26日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立つ外相会合を広島市で開く方針を政府が発表。「核兵器なき世界へ、核軍縮を決断させる好機だ」。非人道的な兵器にしがみつく先進国を揺り動かすその時に、被爆者たちは期待を高めた。

 「久々のうれしいニュース。米国をはじめ核保有国の外交責任者が被爆地にそろう意義は大きく、言動の影響力は計り知れない」。英語で被爆体験を証言している中区の被爆者、小倉桂子さん(77)は喜ぶ。5月、核軍縮の在り方を議論する5年に1度の核拡散防止条約(NPT)再検討会議が最終文書を採択できないまま決裂した。核なき世界の行く末を案じていた。

 昨年4月、広島市であった軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)外相会合では非保有国の外相たちに体験を語った。「広島で見て、聞いて、感じてほしい。それが議論の内容に影響する、と信じるから」と力を込める。

 市は、外相による原爆資料館見学や原爆慰霊碑への献花などを提案する。広島県被団協の坪井直理事長(90)は「核兵器のない、戦争もない世界へ1歩でも2歩でも近づきたい」。もう一つの県被団協(佐久間邦彦理事長)の大越和郎事務局長(75)も「とりわけ核保有国が原爆の非人道性に理解を深め、政策の間違いに気付いてほしい」と訴える。

 市民も期待を高める。安芸区の絵画講師神田康子さん(57)は「各国の記者も訪れるはずだ。原爆被害の実態を世界に発信する機会になれば」。米国から原爆資料館を訪れていた会社員ティム・ミューアさん(30)も「ここに来て初めて放射線被害の恐ろしさを知った。会合を機に核廃絶の議論を進めてほしい。オバマ大統領も足を運ぶべきだ」と願った。

(2015年6月27日朝刊掲載)

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