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社説・コラム

「命の尊さ 発信続ける」 大塚館長 福山ホロコースト記念館20周年

 ナチス・ドイツのユダヤ人大虐殺について伝えるホロコースト記念館が、福山市御幸町に開館し6月で20年がたった。これまでに約14万2千人が訪れた。大塚信館長(66)=京都市右京区=に記念館に込めた思いを聞いた。(衣川圭)

 ―心掛けてきたことは何ですか。
 子どもの目線にこだわり、(アンネの日記を記したユダヤ人少女の)アンネ・フランクの隠れ家を再現した模型や、ガス室に消えた子どもの靴などを展示している。例えば、小さな靴一つから、ホロコーストで150万人の子どもの命が失われた事実を知って共感すれば、学びたい、伝えたいという気持ちが自然に生まれる。

 ―戦後70年。日本ではヘイトスピーチなどの問題もみられます。
 自分中心の考え方をする人が増えているようだ。過ちは過ちと認める素直さから、世界との対話は始まる。

 ―今後、どんな記念館を目指しますか。
 県内に原爆とホロコーストという20世紀の二つの大きな悲劇を学ぶ場所があることは意義深い。ホロコースト教育を通じて、人間の命の尊さを発信し続ける。子どもたちには、平和をつくり出す人になってもらいたい。

(2015年6月28日朝刊掲載)

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