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島根原発で書類偽造 中電、廃棄物処理作業怠る

 中国電力は30日、島根原子力発電所(松江市鹿島町)で発生した低レベル放射性廃棄物の処理に必要な水量計の調整を社員が怠った上、実施したかのように書類を偽造していたと発表した。島根県庁で会見した苅田知英社長は「信頼を裏切り申し訳ない」と述べ、溝口善兵衛知事に謝罪した。施設の安全性への影響や放射性物質漏れはないとしている。

 中電によると、低レベル放射性廃棄物は、水やセメントを混ぜて作ったモルタルでドラム缶の中に固定した後、青森県六ケ所村の日本原燃の保管場所に搬出する。水量が正常でないとドラム缶が破損する恐れがあるため、水量計を半年に1度、メーカーに送り調整する社内の決まりがある。

 しかし、担当の30代男性社員が2013年11月以来、メーカーに依頼しなかった上、日本原燃の監査に古い記録をコピーして作った虚偽の記録を提出。日本原燃から原本を求められ発覚したという。社員は「調整に出すのを忘れていた」と話しているという。今回、中電は9月に予定していた日本原燃への1240本のドラム缶の搬出を見合わせた。調整していない水量計を使ったドラム缶は約1100本あるという。

 中電は10年3月、島根原発1、2号機の重要な設備で、点検不備の問題が発覚。同6月に経済産業省の行政処分を受け、再発防止に取り組んできた。溝口知事は「大変遺憾。第三者を入れて調査し、県民によく分かるようにしてもらいたい」と強調。「2号機の再稼働にも影響が出るだろう」と語った。(川井直哉)

(2015年7月1日朝刊掲載)

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