×

ニュース

核の平和利用 深まる疑念 広島で国際平和シンポ 

■記者 松本恭治

「小さなことから実行を」オノ・ヨーコさん

 国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道―いま、市民社会から何を問いかけるか」が31日、広島市中区の広島国際会議場であった。核問題の専門家らが、核廃絶に向けた道筋について意見交換。福島第1原発事故を受け、原子力の平和利用に批判的な意見も相次いだ。

 市や広島平和文化センターなどの主催で、市民たち約700人が参加。国内外のパネリスト4人が討論した。

 核兵器廃絶国際キャンペーンのティルマン・ラフ代表は「核兵器禁止条約の早期の交渉開始に向け、市民社会で圧力を」と強調。カーネギー国際平和財団のジョージ・パーコビッチ副理事長は「ヒロシマ、ナガサキの声こそが信ぴょう性を持つ」と、被爆地の役割の重要性を指摘した。

 福島第1原発事故を受け、中央大(東京)の目加田説子教授は「平和利用の論理自体が破綻した」とエネルギー政策の転換を訴えた。広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長は「平和利用と軍事利用は表裏一体。危険性は変わらない」との認識を示した。

 開会式では、平和に貢献した現代美術作家をたたえる第8回ヒロシマ賞を受賞したオノ・ヨーコさん(78)が登壇。「みんなが自分のできる小さな良いことをしていけば、世界は平和になる」と呼び掛けた。

(2011年8月1日朝刊掲載)

年別アーカイブ