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「反対・慎重」12議会意見書 安保法案で中国地方 9議会は否決

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案について、中国地方5県の計12自治体の議会が6、7月の定例会で1日までに、反対や慎重審議を求める意見書を可決したことが中国新聞の調べで分かった。今国会での成立を目指す政府に対し、地方議会が「待った」をかけた形。一方で9議会は意見書を否決。請願、陳情を不採択とした議会もあり、賛否が割れている。

 法案に反対や慎重審議を求める意見書の可決は、県別では広島と鳥取がそれぞれ4議会で最も多い。岡山、島根が2議会ずつ。安倍晋三首相の地元山口では可決はない。

 広島は竹原、三次、庄原の3市と世羅町の4市町議会。三次市議会は法案を「日本を戦争国家に変え、自衛隊が世界各地で戦争犠牲者を出すことにつながる」として廃案を求めた。庄原市と世羅町の議会は、平和国家の在り方を変えるとして異を唱える。竹原市議会は国民的な議論を深めるよう強く促している。

 法案をめぐっては、憲法違反との指摘が学者らから相次いだ。島根県津和野町議会は「憲法9条を実質的に破壊するもの」として法制定の中止を要求。雲南市議会も違憲との指摘があることなどを踏まえて慎重審議を要請し、県議会では鳥取が慎重審議を求めた。

 一方、広島市議会や広島県北広島町議会などは、本会議に同様の意見書案が提案されたが賛成少数で否決された。意見書可決を求める請願、陳情は少なくとも16議会で不採択。山口県議会では、今国会での法案成立を求める意見書案が可決の見通しとなっている。

 議会内の会派などから意見書案が出ても、提案を見送った議会も多い。「国会で審議している」(広島県議会、尾道市議会)「国政の難題を1地方議会で判断できない」(岡山県新庄村議会)などの理由だ。国会審議に応じて、対応を判断する議会もありそうだ。

 政府は昨年7月の臨時閣議で、集団的自衛権の行使を容認する決定をした。これを受け、中国地方5県では計9自治体の議会が、行使容認や閣議決定に反対する意見書を可決し、衆参両院や政府に提出している。(中島大)

(2015年7月2日朝刊掲載)

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