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[戦後70年 継承しまね] 勉強できるあなたたちは幸せ 小中校で語り部 被爆体験伝える 浜田の田中さん・古原さん

 島根県浜田市在住の被爆者が中学生に体験を伝える授業が2日、同市黒川町の同市立中央図書館であった。広島で被爆して負傷した田中悦子さん(86)=同市杉戸町=と、看護活動に当たった古原ユキエさん(90)=同市松原町=が、浜田一中の1年生138人に語り掛けた。(森田晃司)

 田中さんは、当時の広島駅の北側周辺で勤労奉仕中に被爆し、全身にやけどを負った。「死んでもいいから水を飲ませてくれと言った」と言い、「うじが傷口に入ってきて痛かった」と生々しく証言した。「思うように勉強できるあなたたちは幸せ。自分の命を大切に」と訴えた。

 古原さんは当時、被爆者の救護所となっていた大野陸軍病院(廿日市市)に看護師として勤務。元気よく話す5歳の女の子を抱っこしたら、病状が急変して亡くなったことを説明。「これが放射能の怖さ。70年たっても、思い出すと涙が出る」と声を振り絞った。

 真剣な表情で聞いていた清水雪花さん(12)は「当時のことを話すのはつらいことだと思う。戦争のない世の中にするために努力したい」と話していた。

 2人とも県原爆被爆者協議会浜田支部(泉忠敬支部長、102人)の理事を務め、ここ数年、浜田、江津市の小中学校約10校を訪れて体験を伝えている。

(2015年7月3日朝刊掲載)

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