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大谷門主 平和の法要 本願寺派安芸教区・広島別院 原爆供養塔前 継承は「責務」

 戦後70年に合わせ、広島県西部の浄土真宗本願寺派安芸教区(546寺)と、広島市中区の本願寺広島別院が3日、平和記念公園(中区)にある原爆供養塔前で、「平和を願う法要」を営んだ。導師を務めた宗派トップの大谷光淳(こうじゅん)門主(38)は、安芸門徒や僧侶たち約千人を前に、「人々が安穏のうちに生きることができる社会の実現のため、最大限の努力を惜しんではならない」と強調した。

 法要では、安芸門徒や僧侶たち約400人が、雅楽に合わせ、原爆資料館から原爆慰霊碑前を通って供養塔まで練り歩いた。

 大谷門主は、お勤めに続いて「戦後70年に寄せる平和への願い」を読み上げた。「戦争がもたらした痛みの記憶は遠いものとなり、風化し、忘れられつつある。先の大戦において、本願寺教団が戦争遂行に協力したことも、決して忘れてはならない」とし、「平和を語り継ぐことが今を生きる私たちに課せられた最大の責務」などと述べた。

 原爆投下後、当時住んでいた小河内村(現安佐北区)で被爆者を救護した広島県安芸太田町の主婦河内信子さん(81)は、大谷門主が述べた「戦後70年の歳月を戦争の悲しみや痛みを忘れるためのものにしてはならない」との言葉に共鳴。「思い出したくない記憶だが、忘れちゃいけない。継承が大切だとあらためて思った」と話していた。

 本願寺派門主が平和記念公園で法要を営むのは、1982年に来訪した大谷光真(こうしん)前門主(69)以来で、33年ぶり。4日は午前10時から、「全戦争死没者追悼法要並びに原爆忌70周年法要」が広島別院で営まれる。(桜井邦彦、余村泰樹)

(2015年7月4日朝刊掲載)

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