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「原爆の絵」 生々しく 基町高生の作品 被爆者らに披露 「若い世代が伝える」 広島市中区

 広島市中区の基町高創造表現コースの生徒7人が、市内の被爆者から聞き取った体験をそれぞれ表現した「原爆の絵」が完成し3日、同校に被爆者たちを招いて披露した。変わり果てた人や町など被爆直後の生々しい情景を描き、悲惨さを訴えている。(樋口浩二)

 黒焦げになった父親、やけどをした人があふれる河原…。76~86歳の被爆者6人から10回以上聞き取ったり、写真や文献に当たったりし、半年かけて完成させた力作がそろった。

 3年竹本茜さん(18)は、国分良徳さん(86)=中区=が爆心地に近い広島第一陸軍病院(現中区)で目撃した患者の白骨死体を油絵に仕上げた。「信じられない光景で悩んだ。でも何度も話を伺って描き進める中で私たち若い世代が伝える意味を感じた」。国分さんは「描くのもつらかっただろう。この絵を基に当時を知る人が増えれば」と願った。

 被爆の記憶を語り継ぐ一助にと、広島平和文化センターが2007年から毎年、同校に「原爆の絵」の制作を依頼している。今回の7点は8月中旬まで校内などで展示した後、原爆資料館(中区)に寄贈する。

(2015年7月4日朝刊掲載)

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