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「平和のもろさ」室内楽曲に 音大の伴谷名誉教授作曲 独で初演へ 被爆70年 専門生かし発信 広島

 広島市中区のエリザベト音楽大の伴谷晃二名誉教授(67)が、原爆や第2次世界大戦の犠牲者への祈りと平和のもろさを表現した室内楽曲「ヒロシマの詩Ⅵ」を作曲した。10日に、市の姉妹都市のドイツ・ハノーバー市である戦後、被爆70年を記念するコンサートで初演される。

 伴谷さんは、原爆で亡くした長兄に突然襲いかかった暗闇を想像しながら作曲したといい、弦楽オーケストラやバスクラリネットで混迷を表現。仏具、風鈴など金属器も不安定な音色を響かせる。

 被爆2世の伴谷さんは2010年から原爆を主題に作曲を続けている。今回の6曲目は、昨年12月にハノーバー市などの依頼を受けて作った。「今ある平和が続く期待と、崩れるかもしれない不安の両方を感じてほしい」と話している。

 コンサートは、大戦時に英国軍の空襲被害に遭った教会である。「ヒロシマの詩Ⅵ」は同市で活動する室内オーケストラが演奏する。教会にある1985年に広島市が寄贈した「平和の鐘」も使う。(高本友子)

(2015年7月7日朝刊掲載)

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