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被爆瓦で語る 平和への意志 映像70時間 独在住作家制作 広島大・ミュンスター大で8・6展示

 広島大(東広島市)とドイツのミュンスター大(ミュンスター市)が、広島への原爆投下から70年になることし8月6日、被爆瓦を使ったインスタレーション作品を両国で展示する。ドイツ在住の作家が、広島の過去を見詰め平和へと向かう意志を表現する。投下時刻の8時15分から70時間、映像を映し続ける。

 タイトルは「Recognition of History(歴史の思考―ヒロシマ)」。ミュンスター大が企画し、インスタレーション作家エド・サトミさんが制作した。

 被爆瓦を使った映像は7分間。机の上に無造作に置いてある被爆瓦6片とミュンスターで拾い集めた石をエドさんが積み上げる。崩れても、繰り返し積み上げていく。背景に1945年から92年までに米国が行った約千回の核実験の名称と場所を写し出す。合間にプロジェクトの説明を挟み、合計70時間、モニターに連続で再生する。

 広島大では、東広島市の法人本部棟と中央図書館、広島市中区の東千田総合校舎玄関ロビーが会場。ミュンスター大では、エドさんが石を積み上げるパフォーマンスからスタートする。

 被爆瓦は、学生団体が2012年に送った。広島大の原爆からの復興を支援した世界中の大学に送る活動の一環だった。団体の大学院医歯薬保健学研究科博士課程後期3年の嘉陽礼文さん(37)は「瓦は亡くなった人への哀悼を促し、平和教育に役立ててほしいと送った。プロジェクトは意義深い」と受け止めていた。(新本恭子)

(2015年7月8日朝刊掲載)

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