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被爆者の思いを未来へ 「伝承者」4期研修始まる 広島市

 広島市が独自に養成している「被爆体験伝承者」の4期生69人の研修が2日、始まった。被爆70年のことしは、昨年募集した3期生より25人多い。被爆者の体験と平和への思いを受け止め、次代に伝えるため、これから約3年間の講義や実習に臨む。

 初日は中区のJMSアステールプラザで座学があり、54人が出席した。講師の鎌田七男・広島大名誉教授は、自らが追跡調査する被爆者の症例を踏まえ、原爆放射線の身体への影響を解説。病苦のため自ら命を絶った人もいるとして、原爆の非人道性を強調した。広島市立大広島平和研究所の水本和実副所長は、核兵器をめぐる国際情勢を説明した。

 4期生は広島市を中心に6都府県の16~71歳で、平均年齢は53・9歳。高校生が1人いる。

 受講生の一人、西区の主婦小西ヒサ子さん(69)は原爆投下時、母親のおなかの中にいた胎内被爆者。あの日の記憶はないが「被爆70年を機に」と以前から気になっていた研修に応募した。「ヒロシマに生きる者として、やり抜きたい」と語った。

 事業は2012年度に開始。1期生のうち50人は研修を修了し、ことし4月から旅行者たちに語っている。1~3期生計141人が研修を継続している。4期生は被爆者から直接、体験を聞き取るなどし、18年春のデビューを目指す。(田中美千子)

(2015年7月3日朝刊掲載)

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