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被爆樹の笛 平和の息吹 千田小で演奏 カイヅカイブキ再生 命の尊さ 音楽に込め 広島市中区

 広島市中区の千田小(639人)で原爆に耐えながら、衰弱して昨秋に切り倒された被爆樹木のカイヅカイブキが、笛の「パンフルート」に生まれ変わった。7日、同小で児童たちが演奏し、再生と平和の音色を響かせた。(菊本孟)

 カイヅカイブキはヒノキ科の常緑針葉樹。千田小の1本は6メートルほどの高さがあった。同じく被爆したイチョウやソテツとともに、児童や修学旅行生に原爆被害を伝えていた。昨年になって枯れ始め、樹木医が「寿命」と診断。倒木の恐れもあり、昨年9月に伐採した。庄野英憲校長は木材の活用を模索。知人の紹介で、パンフルート工房を営む香原良彦さん(67)=安芸区=に託した。

 ボランティアで協力した香原さんは直径2センチ、長さ10~20センチほどの木管10本をアーチ状につなげたパンフルート40個を制作。15年ほど前に同小の児童が作詞作曲した「アオギリのうた」を奏でるため、半音も含む18音を出せるようにした。

 この日、体育館であった全校集会で児童9人と香原さんがアオギリのうたを演奏。透き通った音色に、全児童が平和を願う歌声を重ねた。香原さんは「再生できてうれしい。ずっと引き継いでほしい」。6年上田真央さん(11)は「被爆樹木の持つ平和への訴えを音で伝えたい」と話していた。同小は原爆の日に校内で開く「平和のつどい」などで使う。

(2015年7月8日朝刊掲載)

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