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在米被爆者医療費支給 「申請不受理は不当」

■記者 門戸隆彦

 米国在住の被爆者が被爆者援護法に基づく医療費の支給を広島県に申請したのに県が受理しなかったのは不当として、支援団体「在ブラジル・在アメリカ被爆者裁判を支援する会」は2日、県に対応の改善を申し入れた。

 援護法は被爆者の医療費を国が全額負担すると規定。だが在外被爆者には適用されず、国が助成事業で入院日数に応じ年額17万千円~18万3千円を支給。それを超える医療費は自己負担となる。

 申し入れ書によると、広島市で被爆した米国在住の女性(71)は3月、医療費の申請書を県に郵送。県は「国内に居住地がなく申請を受理できない」として7月、書類を返送した。同会は「却下処分取り消し訴訟の道を阻む」と批判している。

 2日は同会代表世話人の田村和之・龍谷大法科大学院教授たち4人が県庁を訪れ、上野祐之被爆者支援課長に申し入れ書を手渡した。上野課長は「県として却下処分する権限はないと判断した」と説明した。県によると、7月に別の在米被爆者3人が申請したが受理しなかった。

 在外被爆者の医療費支給をめぐっては、在韓被爆者と遺族計3人が大阪府に、申請を受理、却下した処分取り消しを求める訴訟を大阪地裁に起こしている。

(2011年8月3日朝刊掲載)

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