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[戦後70年 継承しまね] 永井博士 死去直前の写真 記念館がグラフ誌展示 三刀屋 世相映す貴重な資料

 長崎の原爆で被爆しながら救護活動に尽くした永井隆博士が1951年5月、43歳で亡くなった直後、博士を特集した雑誌が、故郷の雲南市三刀屋町の永井隆記念館に寄贈された。当時の実相を示す資料として展示している。(西村萌)

 特集しているのは、月刊グラフ誌「国際文化画報」の51年6月号。亡くなった翌月の発行で「永井隆博士遂に逝く」と見開きで写真7枚を掲載した。病床で自分の白血球を顕微鏡でのぞく様子や、本を読む次女の声を聞いたり、祈りをささげたりする姿などが並んだ。「死去前に既に編集が済んでいたものを一部組み替えて掲載」との記述もある。

 永井隆記念館は「亡くなる直前の写真は大変貴重で、ここでは見られなかったものもある。被爆者医療に尽力した当時の存在感もよく分かる」とし、戦後70年を機に公開した。

 国際文化画報は49年創刊。この号を含め今回、51年4月号から52年8月号までの17冊が寄贈された。51年8月号では、広島城や原爆ドームの内部写真など、被爆から6年が経過しようとしている広島を紹介している。

 寄贈したのは、古文書のデータベース化事業などを手掛ける「江友」(松江市玉湯町)。社員の男性(69)が今春、市内の自宅で、かつて父親が購読していた同誌を見つけた。伊藤孝一社長(60)に相談の結果、「戦後日本の世相がよく伝わる」として寄贈を決めた。記念館の開館時間は午前9時から午後5時までで、8月30日まで入館無料。祝日を除く月曜と7月21日休館。Tel0854(45)2239。

(2015年7月10日朝刊掲載)

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