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被爆証言伝え「関心を」 2世の藤本さん 庄原で講演

 広島市が育成した被爆体験伝承者で、被爆2世の藤本敏恵さん(67)=広島市安佐北区=が8日夜、庄原市西本町の市ふれあいセンターで、「語り継がれる被爆体験」と題して講演した。住民約80人が参加した。

 藤本さんは、スライドで当時の写真や原爆の惨状を描いた絵を見せながら、爆心地から約2・3キロ離れた工場で被爆した梶本淑子さんの証言を披露。「迫り来る炎から逃れるため、死体を踏んで逃げた。梶本さんは、あのひどい感触は一生忘れられないとおっしゃっていた」と強調した。

 藤本さんは、建物疎開作業中に被爆した当時12歳の兄のことも語った。あの日の夕方、兄を捜していた父が、土手で顔が赤黒く腫れ上がった少年を見つけた。腰の布袋で兄と気付き、自宅に連れ帰ったが翌朝に亡くなったという。

 藤本さんは「戦後70年間、私たちは平和な時代を生きた。次の世代にも戦争のない世界で生きてほしい。核兵器をなくすためにも、核問題に関心を持って」と締めくくった。(山本堅太郎)

(2015年7月10日朝刊掲載)

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