×

ニュース

お膝元の山口県議会、首相後押し 安保法案成立求める意見書可決 野党系会派など反発

 集団的自衛権の行使を可能とする安全保障関連法案の今国会での成立を求める意見書案が10日、県議会本会議で可決された。県議47人のうち過半数の24人を占める最大会派の自民党が、お膝元の県議会として安倍晋三首相(山口4区)を後押しする狙いで主導。「国民の理解は進んでいない」などと主張する野党系などの会派が反発する中での採決となった。(村田拓也、折口慎一郎)

 各会派が意見を表明する討論は、2時間近くに及んだ。登壇した7人は持ち時間のほとんどを、安全保障関連法案をめぐる意見書案と、慎重審議や廃案を求める5件の請願への賛否の説明に割いた。

 自民党新生会(5人)の橋本尚理氏(岩国市・和木町)は「安倍首相のリーダーシップで、やっと普通の国になれる」と法案を歓迎。公明党(5人)の上岡康彦氏(周南市)は「抑止力を高め紛争を未然に防ぐことで、国の平和と国民の安全が守られる」と理解を求めた。

請願5件不採択

 これに対し、民主・連合の会(4人)の戸倉多香子氏(周南市)は「戦後70年で確立した日本の平和ブランドが失われる」と批判。社民党・市民連合(2人)の佐々木明美会長(宇部市)も「多くの憲法学者や元内閣法制局長官が違憲と指摘しており、廃案にするべきだ」と訴えた。

 採決で意見書案は可決され、請願5件は不採択となった。自民党の新谷和彦会長(萩市・阿武町)は「国を守るために法案が必要という意思を示せた。安倍首相の後押しにもなる」と力を込めた。

 10日閉会した今定例会で自民党は、法案を題材にした柳井高(柳井市)の現代社会の授業にも「政治的な中立性があるのか疑問」と批判の矛先を向けた。共産党(2人)の木佐木大助会長(下関市)は「意見書可決と軌を一にした行為で、暴挙だ」と憤った。

 県議会は春の改選前の昨年7月、「憲法改正の実現に向けた議論を求める意見書」を可決。国政に関する内容などは「全会一致」としていた意見書提出の要件を、2013年6月に「2会派以上」などに変更してから、議席の過半数を握る自民党の意向が県議会の意思として対外的に示される事態が続く。

労組が反対集会

 県内の労組でつくる県平和運動フォーラムは10日夕、山口市で法案に反対する座り込み集会を開いた。約70人が参加し、廃案を求めるアピールを採択。岡本博之議長は「意見書で賛否の割れるテーマを取り上げ、多数決で県議会全体の主張とするのは間違っている」と批判した。

(2015年7月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ