×

ニュース

ヒロシマ思い2年ぶり新譜 二階堂和美「伝える花」 「生命の生きる力 希望」 被爆70年にささぐ音色

 大竹市のシンガー・ソングライター二階堂和美(41)が15日、シングル「伝える花」をリリースする。被爆70年の広島に思いをはせた2年ぶりの新譜は、平和の大切さを真っすぐに伝える。「広島に限らず世界中の人、いろいろな立場の人に聞いてほしい」と力を込める。(余村泰樹)

 原爆資料館(広島市中区)で被爆1カ月後の焦土に咲いたカンナの花の写真に出合い、曲は生まれた。曲作りで原爆の資料にあらためて触れ、「未来への希望を込めようとしたけど、つらいことばかりに直面した。上っ面だけでは歌えない」。そう思い悩んでいたときに写真を見た。「生命の生きる力こそが希望」と気付かされ、自然とメロディーが口を突いた。

 2004年に帰郷し、広島を中心に活動。前回のシングル「いのちの記憶」はアニメーション映画「かぐや姫の物語」の主題歌だ。監督の高畑勲から「大切なことがすーっと伝わる」と評された。実家は寺で、僧侶の肩書もある。13年には長女が生まれた。「楽しくて」やってきた音楽活動に、ここ数年「伝える使命感」が加わった。

 それだけにことしは「戦争や原爆、平和といったテーマの曲を作りたい」との思いがあった。集団的自衛権の行使を可能にする安保法案の議論が進む今、「敵、味方の構図をつくっちゃいけない。非戦は大きな誇り」。2番の歌詞には「受けた悲しみは決して返しはしない」と平和への強いメッセージを込めた。

 ピアノやベース、バイオリンなど地元演奏家とのレコーディングにこだわった。「説明しなくても共通認識がある。被爆70年を思うみんなの思いが音色になり、広さや豊かさが出せた」と自信を見せる。

 「いのちの記憶」で脚光を浴び、地元の児童や主婦たちと一緒に合唱に取り組む機会も増えた。そんな活動の広がりをヒントに、今作ではリリースと同時に楽譜をホームページで公開する予定だ。「多くの人に歌い継いでほしい。平和を考える『唱歌』のような存在になれば」と願う。

(2015年7月11日朝刊掲載)

年別アーカイブ