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反戦の思い 2監督熱く 塚本晋也さん「映画で戦場体感し考えて」 大林宣彦さん「奇跡の憲法失われようと」

シネマ尾道で対談

 尾道市出身の大林宣彦監督(77)と、25日に全国公開が始まる戦争映画「野火」の塚本晋也監督(55)の対談が11日、同市東御所町の映画館「シネマ尾道」であった。戦後70年を迎えた節目と作品公開に合わせた企画として、「次代へ伝える戦争と平和」をテーマに語り合った。(渡辺裕明)

 野火は、大岡昇平の戦争体験を基にした小説が原作。第2次世界大戦末期のフィリピンで極限状態に追い込まれた日本兵を描いている。1959年に市川崑監督も映画化した。

 先行上映の後、大林監督と塚本監督が登壇。20年前に映画化を構想した塚本監督は、日本が戦争に向かっている危機感を覚えるという。「映画で戦場を体感してもらい、過去でなく、この先で起こる可能性があることを考えてもらいたい」と力を込めた。

 大林監督も近年、「この空の花―長岡花火物語」や「野のなななのか」など反戦をテーマにした作品を手掛けている。その上で「野火は未来への警鐘だ。戦争映画は戦争を体験したくない、つらいと思わせることが大切」と解説。憲法9条にも触れ「奇跡のような憲法が失われようとしている」と憂えた。

 シネマ尾道では、野火を25日から8月21日まで上映する。

(2015年7月12日朝刊掲載)

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