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社説・コラム

どう見る安保関連法案 次世代の党・平沼赳夫党首 日本の安保環境 危機的

 中国はこの26年間で国防費を約40倍に伸ばし、尖閣諸島や南シナ海に進出する動きを見せている。日本を取り巻く安全保障環境は時々刻々と変化している。今は危機的な状況だ。

 憲法の前文に「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とある。理想だが、現実にそんな国はあるだろうか。あるのは国益を愛するエゴと横暴だ。日本としても、侵略戦争はしないが必要最小限の自衛力は持っておかねばならない。安保法制を整備し、対処しておこうという安倍晋三首相の考えは当然のことだ。

国際法上の権利

 衆院岡山3区選出で当選12回。郵政民営化に反対して自民党を離党後、たちあがれ日本、日本維新の会などを経て、昨年8月に次世代の党を結党した。首相とは北朝鮮拉致問題にともに取り組み、憲法改正などでも方向性は似通う。

 自衛権は国際法上の固有の権利。日本の根幹的な安全保障という中に、個別的自衛権も集団的自衛権も入っている。その上、国連憲章が認める集団的自衛権の行使は「安全保障理事会が平和と安全の維持に必要な措置を取る」までの間で、そもそも限定的なものだ。

 集団的自衛権の行使を認めれば戦争に巻き込まれる、という批判は非常に飛躍している。国民の生命と財産を守るため、やむを得ない時に限定的に集団的自衛権を発動する。戦争に巻き込まれるようなことになれば引く、と首相も言っている。

 政府がよく例示するが、現状では、救助した日本人を乗せた米軍の艦船が攻撃された時、自衛隊の艦船が横で護衛していても何もできない。これでまともな独立国と言えるだろうか。

最終的には改憲

 9日に首相と会談。安保関連法案の早期成立への協力要請に「サポートする」と応じた。

 われわれは政府・与党に対して是々非々の立場だ。法案には賛成する。一国会だけの審議で成立させようとしていることに批判もあるが、国際情勢からやむを得ない。

 もちろん最終的には憲法を改正し、自衛権について明確に打ち出すべきだ。自衛力を侵略に使わないためには、国民の意思を尊重する政治の姿勢が大事だ。国民の意思は戦争しないことであるのは明白だ。

 だからこそ侵略戦争は絶対しませんと明記し、防衛のための自然権たる自衛権を明確化するよう憲法改正しようと主張している。自分はタカ派だと言われるが、当たり前のことを言っていると思っている。(清水大慈)

(2015年7月14日朝刊掲載)

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