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本川西岸 被爆トイレか 管理の市、登録へ調査 市民有志の会が突き止め 広島市中区

 広島市中区土橋町の本川西岸の緑地にある市の公衆トイレが、被爆建物である可能性が高いことを、市民有志の「小さな被爆建物を考える会」が突き止めた。戦前の写真と戦後の映像で似た外観の建物を確認。建て替えた記録もないという。市は会の指摘を受け、被爆建物として登録する方向で調べる。(高本友子)

 市によると、トイレは爆心地の南西約500メートルで、鉄筋造り11・57平方メートル。いつ、だれが建てたのかは不明だが、1965年には市の所有だったとする記録が残っているという。その後、89年にタイルの貼り替えや外壁の塗装などの改修をしている。

 同会は46年に米軍が撮影した本川西岸の映像の中に、トイレと酷似した建物があるのに気付き、「被爆前からあったのでは」と昨年6月に調査を開始。39年ごろの本川右岸の写真で、同じ位置に似た外観の建物が写っているのを確認した。

 ことし2月にはトイレ下の河原で縦6センチ、横22センチほどのタイルを発見。改修前の外壁の物と大きさがほぼ一致する上、うわぐすりが一方向に溶けて垂れている跡を確認した。原爆の熱線で溶けた可能性があるという。

 会は9日、市に登録を要請した。メンバーの一人、東区の自営業日野唯史さん(56)は「被爆建物が減っている今、小さな建物でも残して原爆被害をイメージできるようにしてほしい」と期待する。平和推進課は「被爆建物という認識はなかった。登録へ前向きに調査する」としている。

 同課によると、市内の被爆建物は86件。昨年に鶴羽根神社(東区)の手水舎(ちょうずや)が加わった。

(2015年7月14日朝刊掲載)

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