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核廃絶へ何ができるか 原爆資料館 原田元館長 母校・広島大付属中で証言

 原爆資料館(広島市中区)の元館長で被爆者の原田浩さん(75)=安佐南区=が母校の広島大付属中(南区)を訪れ、自身の体験を証言した。被爆建物の講堂に集まった1~3年生約370人に「核兵器廃絶へ何ができるか、今を生きる皆さんが考え、行動してほしい」と訴えた。

 原田さんは6歳のとき爆心地から2キロの広島駅で被爆。「私に覆いかぶさり守ってくれた父は大けがをした。倒れている人たちの上を逃げ惑った」と語った。市内の惨状や黒焦げになった犠牲者の遺品を捉えた写真を示しながら、「一人一人の市民がどんな最期を迎えたのか感じ取ってほしい」と呼び掛けた。

 1993年、「思いがけず」館長に就任するまで、「あの日」を語らずにいたという原田さん。「だれにも悲惨な目に遭ってほしくない。だから体験を伝え、廃絶への思いを発信している」と話した。世界になお約1万6千発の核兵器が存在する現実にも触れ、「70年前の恐怖は過去ではない」とも強調した。

 聞いていた中学3年杉山博悦さん(14)は「今では考えられない体験。口にすることも本当はつらいのだと知った。私たちは、ただ耳を傾けるだけで終わらせてはならない」と話していた。(金崎由美)

(2015年7月14日朝刊掲載)

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