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連載・特集

レンズはとらえた戦後70年 原爆ドーム永久保存へ1967~69 被爆の象徴に善意の輪

 「原爆ドームに皆さんの善意を」―。1966年11月、原爆ドーム保存のための募金活動が始まった。期間は4カ月で目標額は4千万円。浜井信三市長(当時)も街頭で募金を呼び掛けた。善意の輪は全国に広がり、最終募金額は約6600万円に上った。

 67年5月、保存工事が本格的にスタート。高さ24メートルのドームをテントや足場が覆った。あの日から22年、風雨にさらされ続けたドームの壁には無数の裂け目が目立ち、崩壊寸前の状態。約30メートル離れた道路の振動で、建物が揺れたほどである。

 建物にこびりついたコケなどが焼き払われ、傾いた壁は真っすぐに立て直された。ぼろぼろになったれんがの壁に穴を開け、内部に強力な接着剤を約18トン注入。崩れたまま、壊れかけたままの景観を保存する難工事は、同8月に完工式を迎えた。

 国内では68年12月、東京・府中市で白バイ警官を装った男による3億円強奪事件が発生。69年には東大紛争で入試が中止された。国外では同7月、米国の3人乗り宇宙船「アポロ11号」が人類初の有人月面着陸に成功した。(村上昭徳)

(2015年7月15日セレクト掲載)

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