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広島知事 懸念示す 安保法案強行可決 首長ら苦言・熟議訴え

 集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案が衆院特別委員会で強行採決された15日、広島県の湯崎英彦知事は、国民理解が十分でないとして懸念を示すコメントを出した。他の首長からも、徹底した国会審議や国民への説明を求めるコメントが相次いだ。

 法案は、戦後日本の安保政策の歴史的転換に踏み切る内容。湯崎知事は、識者や地方議会から違憲との声が上がっている点に触れ「国民的合意に至っているとは言えない」と指摘。「県民は平和国家の形が変わらないことを望み、不安を感じながら法案の議論を見守っている」と懸念を示し、政府に国民の理解を得るよう促した。

 ことし被爆70年の節目を迎えた広島市の松井一実市長は、核兵器廃絶と恒久平和を願い、一貫して憲法の平和主義を尊重してきた市の立場を説明。「今後の国政に重大な影響を及ぼす法案。国民世論を踏まえ、しっかり熟議を重ねてほしい」と訴えた。

 島根県の溝口善兵衛知事は「政府は引き続き、国会での十分な審議を通じ、国民に対して丁寧に説明してもらいたい」と要望。陸上自衛隊の出雲駐屯地を抱える出雲市の長岡秀人市長は「法案の必要性については認識しているが、国民全体の理解が得られているとは言い難い。引き続き国会で十分な議論を」と苦言を呈した。

(2015年7月16日朝刊掲載)

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