×

ニュース

小切手など3点 遺族2人に返還 引き揚げ時 税関預かり 福山

 神戸税関福山税関支署は15日、戦後に海外から引き揚げた人から税関が預かった送金小切手1点を福山市熊野町の会社役員小山千佳子さん(64)、小切手預証2点を同市西町の無職西本ユリ子さん(66)に返還した。

 送金小切手は小山さんの父で1972年に57歳で亡くなった山口亨さん名義。額面「壹千八百圓」、発行元「帝國銀行」とある。亨さんは上海で小山さんの母民子さん(91)と結婚し、事業をしていた。終戦翌年の46年ごろ帰国。送金小切手は横浜税関が保管していた。

 小切手預証2点は、西本さんの義理の両親で、いずれも故人の敏夫さんと千代子さんの名義。旧満州(中国東北部)で郵便局長をしていた敏夫さんが帰国した46年の発行で長崎税関が保管していた。

 同支署で受け取った小山さんは「戦後70年の節目に感慨深い。父の生きた証し。母と思い出に浸りたい」。西本さんは「苦労がにじんでいるようだ。大切にしたい」と話した。

 同支署によると、戦後のインフレ対策で帰還者が持ち込める金は千円以下に制限。超過分を税関が預かった。53年に返還を始め、昨年末時点で26万7684人分が未返還という。同支署がことし2月に一部を公開。小山さんと西本さんがそれぞれ問い合わせて判明した。(渡部公揮)

(2015年7月16日朝刊掲載)

年別アーカイブ