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特攻の記憶 「風化させぬ」 18日 上下で元隊員松井さん証言 広島県府中市

 府中市上下町の松井義武さん(91)は戦時中、神風特別攻撃隊の隊員として訓練を受けた。「記憶を風化させてはいけない」。18日、上下歴史文化資料館である戦後70年講座で体験を語る。

 松井さんは1943年12月に海軍に召集された。奈良県で航空隊の訓練中に志願し、45年3月、神風特別攻撃隊の隊員に。一緒に訓練を受けていた47人全員が志願したという。

 「親兄弟を守るため何とかしなくてはと皆が本気だった。自分で判断したつもりだった。今思えば、そう教育されていた」と振り返る。

 爆弾を積んで敵艦隊に体当たりする任務を実行する機会はなかった。松山市で終戦を迎え、隊員は各自、練習機で古里へ帰った。上下町に向かう途中、上空から船腹をさらした船が浮かぶ因島や、空襲で焼けた福山の街が見えた。

 三次市内の河川敷に不時着。電車で上下町へ向かう途中、迎えに来た叔父から「目つきを変えないと」と言われたことが忘れられない。松井さんは「親子が別れ、死ななくてもいい人が死ぬ。戦争の悲惨さを伝えたい」と話す。午後1時半から。申し込み必要。500円。同資料館Tel0847(62)3999。(筒井晴信)

(2015年7月16日朝刊掲載)

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