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核廃絶 英議会で訴え 広島の梶本さん ネット電話で被爆証言

 核兵器保有国の英国の国会議事堂と、広島市中区の原爆資料館をインターネット電話「スカイプ」でつなぎ、西区の被爆者、梶本淑子さん(84)が16日、70年前の被爆体験を証言した。国会議員たちに「一刻も早い核兵器の廃絶を」と訴えた。広島平和文化センターによる初の試み。

 梶本さんは14歳の時、爆心地から2・3キロにあった学徒動員先の軍事工場で被爆した。通訳を介し、遺体だらけの街を必死に逃れた経験を語った。「威力を増した核兵器が使われれば、地球は破滅する。各国の指導者をはじめ一人でも多くの人が廃絶に動いてほしい」と求めた。

 画面の向こうでは、議員や現地の非政府組織(NGO)メンバーたちが聞き入り、「心揺さぶられた。体験を共有できたことに感謝する」「センターと協力し、廃絶に努力する」などと感想を話した。主催した貴族院(上院)のジョン・レイヤード議員は「刺激を受けた。理解を深めることが大切だ」と感謝した。

 この日の試みは、平和首長会議(会長・松井一実市長)の核兵器廃絶の取り組みに関心を持った英議会の関係者が今春、事務局を務める同センターを訪れたのがきっかけ。同席したセンターの小溝泰義理事長は「深い反応が見てとれた。他国にも広げ、核兵器の非人道性を広めたい」と話した。(田中美千子)

(2015年7月17日朝刊掲載)

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