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「過ち繰り返すな」 被爆者 安保法案衆院通過

 広島の被爆者たちは16日、「70年前の過ちを繰り返しかねない」と一斉に反発した。広島県被団協(佐久間邦彦理事長)は安倍晋三首相に宛てて、県原水協と連名の抗議文を出した。

 「あまりに強硬だ。頭にきている」。佐久間理事長は声を荒らげる。「戦争がなければ原爆もなかった。若い世代をまた戦争に送り込む懸念がある以上、被爆者として黙っておけない」

 この日、自民、公明両党の本部と首相官邸にファクスで送った文書は「満身の怒りをこめ、強く抗議する」とし、法案の撤回を要求。また、広島市の平和推進課を訪れ、松井一実市長が原爆の日の平和記念式典で読み上げる平和宣言で、法案への反対か懸念を表明するよう要請した。

 もう一つの県被団協(坪井直理事長)の清水弘士事務局長も「被爆者運動の出発点は『ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ウォー』だ。数の力を借りた暴力にその願いを踏みにじられた」と憤る。次は参院での審議が待つ。「良識の府としての在り方が問われる。日本が戦後を歩みだした時の大反省に立ち返ってほしい」と訴えた。(田中美千子)

(2015年7月17日朝刊掲載)

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