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「被爆者ゼロで解散も」35% 被爆者団体 中国新聞社全国調査 存続希望49団体

 被爆70年に合わせ、中国新聞社は、各都道府県と中国地方5県内の各地域にある被爆者団体に活動方針を尋ねるアンケートをし、121団体から回答を得た。43団体(35・5%)が被爆者がいなくなれば解散する可能性を示唆。49団体(40・5%)は今後も2世や遺族の手による組織の存続を希望した。あの日の記憶や核兵器廃絶に向けた運動が岐路を迎えている。(奥田美奈子)

 アンケート用紙を今月上旬に発送。44都道府県の組織計45団体のうち44団体、中国5県内の地域組織計80団体のうち77団体から回答があった。

 組織の今後について、都道府県15団体と地域34団体が「2世や被爆者遺族たちを加えて存続させる」と答えた。これに対し「被爆者がいなくなれば解散・消滅させる」は各12団体と31団体。各3団体と5団体(6・6%)は「別の組織に活動を引き継ぐ」とした。「その他」と無回答が計21団体あった。

 これに関連し、都道府県組織のうち広島の二つや神奈川、石川などの15団体は2世組織が「ある」と回答。日本被団協結成50年に合わせて2006年に実施したアンケート時の5団体から3倍となった。ただ「願っても担い手がいない」も12団体あった。

 この10年に力を入れた活動は「体験証言」「会員の健康と親睦の維持」「被爆者健康手帳の取得や諸手当の申請支援」の順に多かった。今後については「慰霊祭の実施」や「被爆2世の援護策充実」を挙げる団体も目立った。

 日本被団協加盟の都道府県組織(徳島は1987年に脱会)では、和歌山がことし6月に解散を決めた。奈良、滋賀も既にない。中国地方ではことしに入って、安芸高田市甲田町、同市八千代町、庄原市西城町の各団体が活動を終えた。8月6日以降に存廃を検討する団体もある。

 一方、3月末に従来の団体が解散した福山市では4月、新たな団体が発足。2世が会長を務め、若者を巻き込んだ活動が始まった。被爆者健康手帳を持つ全国の被爆者(海外在住を含む)は3月末時点で18万3519人、平均年齢80・13歳となっている。

 ≪調査の方法≫7月上旬に質問文書を郵送。返信が届いた後、電話でも各担当者から聴き取った。全国調査は、日本被団協を構成する都道府県組織とオブザーバー参加の広島県被団協(佐久間邦彦理事長)、県単位での活動がない山形は日本被団協と連絡を取り合う鶴岡市の「つるおか被爆者の会」の44団体。中国地方5県は各県組織が把握する地域の会や支部計80団体を対象とし、77団体から回答があった。

(2015年7月19日朝刊掲載)

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