×

ニュース

「地獄絵」被爆体験語る 広商OB 後輩に核廃絶訴え 広島市中区

 広島県立広島商業高(広島市中区)の前身、県立広島商業学校2年の時に被爆した藤田道男さん(83)=佐伯区=が19日、自らの体験を初めて語った。同校が原爆慰霊祭に合わせて企画した卒業生による証言の場。被爆70年を前にあの日の惨状を伝え、核兵器ゼロの実現を後輩に託した。(田中美千子)

 藤田さんは当時、皆実町(現南区)に移転していた学校の校庭で原爆に遭い、左半身を焼かれた。教室に集まった1~3年の学級代表たち約80人に顔や腕の傷痕を示し、被爆直後は「まさに地獄絵だった」と振り返った。やけどがうんで、激痛に苦しんだ闘病生活にも触れた。

 藤田さんは家族にさえ、体験を詳しく語っていないという。同校によると、原爆で生徒、教職員計137人が犠牲になった。「あの悲劇は僕たちだけでいい。生徒たちが社会のリーダーになり、核兵器廃絶を実現してくれたら」と願う。

 また原爆が落とされた日は病欠だったという同級生の森正幸さん(83)=東京都中野区=も級友の死を語った。2人は証言後にそろって校内での慰霊祭に参列し、犠牲者を悼んだ。

 3年梅田優太さん(17)は「どんなに苦しかったか。自分だったら生き抜けないかもしれない。核兵器の悲惨さを忘れてはいけないと実感した」と受け止めた。

(2015年7月20日朝刊掲載)

年別アーカイブ