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日韓の未来2世が築く 駐広島総領事の辛さん 被害者救済 亡父に誓う

 広島で被爆した元韓国原爆被害者協会会長の故辛泳洙(シンヨンス)氏を父に持つ被爆2世の辛亨根(シンヒョングン)駐広島韓国総領事が6日、広島市の平和記念式典に初めて参列する。父の思い出を胸に「核兵器廃絶に向け国際社会と協力していく思いを持って臨みたい」と話している。

 3月に着任した辛総領事は5日、中区の平和記念公園内であった韓国人原爆犠牲者慰霊祭に遺族たち約230人とともに出席した。あいさつで「不幸な過去が再び繰り返されてはならない」と強調し、日韓関係を未来志向で構築していく意志を表明。その上で「韓国人原爆被害者に対する原爆症認定手続きの簡素化など、実質的な補償拡大を願う」と述べ、慰霊碑に花輪を手向けて悼んだ。

 「あの日」の朝、26歳の泳洙氏は出勤途中、爆心地から約1キロの幟町電停で被爆し、大やけどを負った。帰国後、1974年に在韓被爆者で初めて被爆者健康手帳を取得するなど在外被爆者運動の先頭に立った。

 慰霊祭終了後、辛総領事は「韓国人原爆被害者の権利回復のために持続的に努力した父を思い出した。父に負けないよう努力したい」と力を込めた。 (胡子洋)

(2011年8月6日朝刊掲載)

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