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平和への思い ドーム模型に込め 精巧 金属製 継承へ寄贈

 安芸区船越の精密板金加工会社会長梅田尚司さん(79)が5日、自らが作ったステンレス製の原爆ドーム模型を地元の船越中に贈り、同中の平和集会に参加した。13歳の時に被爆した自らの少年期を生徒たちに重ねながら「平和の願いを受け継いでほしい」との思いを胸に語り掛けた。

 ドームは縦約40センチ、横約60センチで、実際の150分の1ほどの大きさ。被爆前の県産業奨励館の設計図などを頼りに、現地に何度も足を運び、写真も参考にしながら鉄骨の曲がり具合や屋根の骨組みなど現在の姿を忠実に再現した労作だ。

 梅田さんは通学途中に鶴見橋東詰め(現南区比治山本町)付近で被爆。友人や親族を多く亡くした。「平和の象徴の原爆ドームを形にして永久に残しておきたい」。機械メーカーの技能コンテストに模型出品を思い立ち、約1年半かけて完成させた。コンテスト後に手元に戻った作品を孫が通う縁で船越中に寄贈することにした。

 この日の集会には全校生徒233人が集まり、梅田さんから被爆の様子や模型作りに込めた思いなどを真剣な表情で聞いた。

 3年の玉元咲帆さん(14)は「ドームから梅田さんが平和を願う気持ちが伝わってきます」と話していた。

 平和集会では、原爆の子の像のモデル、佐々木禎子さんの小学校時代の級友、川野登美子さん(69)=中区光南=による禎子さんとの思い出や像建立の経緯などの講演もあった。(鈴中直美)

(2011年8月6日朝刊掲載)

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