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社説・コラム

『やまびこ』 折り鶴 平和思う糸口に

 戦後・被爆70年の動きを三次市内で追いながら、平和への思いを子どもたちにどうつないでいくか、自問自答している。

 私自身、戦争を知らない世代である。それでも、戦地へ赴いた祖父や、被爆者だった祖母から直接体験を聞けたのは大きかった。昨年までに祖父母が亡くなり、あらためてそう思う。

 受け取ったバトンは重い。ただ、作木小でわが家と同世代の親子の巨大折り鶴づくりを取材して、少し気持ちが軽くなった。6メートル四方の大きな紙で楽しそうに鶴を折る子どもたち。この日のことは大人になって何度も思い出すことだろう。

 そんな引っ掛かりを一つでも二つでも子どもの心に刻み、過ちを振り返るきっかけを増やせればいい。幸い、祖父母の代が残してくれた手記はたくさんある。活字に息づく証言が、平和の尊さをずっと語り継いでくれるはずだ。(松本大典)

(2015年7月22日朝刊掲載)

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