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[戦後70年 継承しまね] 戦争で中断 1世紀の歴史 金城の地芝居 児童向け講座 座長、伝統守る決意

 浜田市金城町久佐の地芝居劇団「山陰久佐松竹座」の100年余りの歴史を児童に伝える講座が21日、同町の久佐公民館であった。戦前に戦況悪化で、戦後には娯楽の多様化などで、2度の中断期間がありながら1993年に復活した地域の伝統を、次世代まで守り抜く決意を示した。(森田晃司)

 地域住民から歴史や文化を学ぶ公民館事業の一環。座長の古城満秀さん(59)が講師を務め、同町の今福小児童12人に語り掛けた。劇団の歴史を児童に話すのは初めてという。

 劇団には前史として13年、大正天皇の即位を祝い上演した記録が残る。寺などで公演を重ね27年、正式に一座として発足。浪曲師が物語を展開する「節劇」を得意とし毎年演じていたが、満州事変のあった31年を最後に活動を中止した。

 古城さんは「戦争で劇どころではなくなったのだと思う」と神妙な表情で語った。

 終戦後の45年に活動を再開したが51年を最後に途絶えた。古城さんは「映画など娯楽が多様化して演劇を見る人が少なくなった」と説明。当時の集合写真を示した古城さんは「この中で生きているのは私の父だけ」と紹介した。

 93年に地元有志が復活させ毎年上演を重ねる。だが、団員は22人から12人に減少。古城さんは「高齢化、後継者不足で続けるのは大変だけど、これからも頑張る」と力強く語った。

 児童からは「やってみたい」という声も上がった。4年下谷如月(きさら)さん(9)は「ひいおじいさんが劇団にいる写真を初めて見た。地元の誇りなので、ずっと続けてほしい」と話していた。

(2015年7月22日朝刊掲載)

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