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書評スクラップ初公開 「ヒロシマ日記」蜂谷氏生家で発見 出身地岡山で来月特別展

 医師の視点で原爆被害の惨状を著書「ヒロシマ日記」に記した元広島逓信病院長の蜂谷道彦氏(1903~80年)の出身地、岡山市北区津高地区の住民が、8月1日から地元公民館で特別展を開く。日記の出版や反響を報じた当時の日米の新聞記事、原爆開発を指揮した物理学者ロバート・オッペンハイマーたち著名人の書評を集めたスクラップ帳を初めて公開する。

 蜂谷氏は1945年8月6日、爆心から1・4キロ北東の同病院近くの自宅で被爆した。血まみれで同病院に駆け付け、負傷者を治療した。被爆者が放射線障害とみられる症状で苦しむ様子を56日間にわたってつづった日記風の記録を55年に出版。十数カ国語に翻訳され、大きな反響を呼んだ。退職後の65年には古里に戻り、晩年を過ごした。

 スクラップ帳は2009年に蜂谷氏の生家で見つかり、出版社から送られたり記事になったりしたヒロシマ日記の書評が集められている。戦後反核の立場をとったオッペンハイマーは「一気に読んだ。本の出版に感謝する」と記していた。ノーベル文学賞作家パール・バック、開戦時の米大統領ルーズベルト夫人の書評もある。

 特別展は住民たちでつくる「蜂谷道彦を顕彰する会」が8月1~16日、津高公民館(岡山市北区栢谷)で開く。ヒロシマ日記の初版本なども展示する。企画した前津高公民館長の菱川良一さん(64)は「被爆70年を機にあらためてスポットライトを当て、核兵器の恐ろしさを伝えたい」と話している。津高公民館Tel086(294)4222。(永山啓一)

(2015年7月23日朝刊掲載)

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