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「核廃絶 指導者に促す」 松井市長 特派員協会で講演

 広島市の松井一実市長は23日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で講演し、被爆70年に際して核兵器廃絶に向けた決意を表明した。核兵器を「非人道兵器の極み」と非難し、政治指導者の被爆地訪問を通じて廃絶を促すとした。

 海外の報道機関に所属する記者たち約30人が参加した。松井市長は被爆前後の街並みの写真などを示し、高齢者や女性、子どもたち市民が犠牲になったと説明。「被爆者が、他の誰にも同じ思いをさせたくないと訴える理由を理解してほしい」と強調した。

 参加者からは、衆院を通過した安全保障関連法案への賛否などを問われた。松井市長は「近隣国との外交がうまくいかないから防衛力で備えるという立場、議論は納得しがたい」「(国同士が)疑心暗鬼に陥らず、対話に努めてほしい」と述べつつ、賛否の明言は避けた。

 来年5月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に先立ち、広島市である外相会合に関する質問も出た。出席が予想される米国のケリー国務長官に原爆投下の謝罪を求めるかとの問いに「わびる、わびないは問題にすべきではない」と回答。原爆慰霊碑に刻まれた「過ちは繰返しませぬ」を紹介し、「未来への誓いを立てることが死者への慰みになる」との考えを示した。(藤村潤平)

(2015年7月24日朝刊掲載)

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