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峠三吉 直筆原稿や手紙 おいの鷹志さん 広島の団体に100点預託 原爆文学 「記憶遺産に」

 「原爆詩集」で知られる詩人峠三吉(1917~53年)のおい峠鷹志(たかし)さん(76)=東京都=が23日、広島市を訪れ、自宅に保管していた峠三吉の直筆原稿などの資料を「広島文学資料保全の会」に預けた。同会は今後、資料を整理して保管方法などを検討する。

 同会と広島市は、「原爆詩集」の最終草稿などが、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の記憶遺産に登録されるよう国内公募に申請している。鷹志さんは、そうした動きに応じて約100点の資料を持参した。

 「Lyrical Ballads」との表題が付けられ、詩「愛の季節」の原稿などをとじた詩集や、「夕ぐれの感想」とのタイトルが付いたエッセーの原稿のほか、デスマスクの複製、手紙などがある。

 この日、同市中区の原爆資料館で資料を手渡した鷹志さんは「自宅に残る資料はほぼ全て持って来た。記憶遺産への活動も進んでおり、何かの役に立てば」と話した。同会の土屋時子代表(67)は「いずれも貴重な資料で、未発表作が含まれているかもしれない。精査して峠像がより鮮明になれば」と期待する。

 鷹志さんは24日、峠三吉がかつて暮らした市営平和アパート(中区)などを訪ねる。(石井雄一)

(2015年7月24日朝刊掲載)

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