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被爆66年 原爆ドームの絵3000枚 安芸区の被爆者 原さん 筆に思い込め27年

 原爆ドーム(広島市中区)を描き続ける被爆者原広司さん(79)=安芸区=が6日朝、平和記念公園で3千枚目を完成させた。絵でも核兵器廃絶を訴えようと始めて27年。「次世代に伝えることは私の責務」。節目の色紙を感慨深げに見つめた。

 午前6時すぎ、ドームの対岸。静かに手を合わせた後、元安川の水をくみ、パレットを広げた。準備した下絵に赤、緑、青と水彩絵の具で手際良く色を付けていった。

 広島県立工業学校(現県立広島工業高)1年だったあの日、市内で建物疎開に従事するはずだった。しかし、前日の日曜日にも作業したため代休をもらい、江田島の親戚宅を訪れていて難を逃れた。翌日、市内に戻り入市被爆。同校の約180人の死亡を知った。

 1984年、証言活動とともにドームを描き始めた。修学旅行生たちを前に「ドームは単に立っているのではない。人類と核は共存できないと訴えている」と語り掛ける。そして作品を贈る。

 記念の3千枚目は緑に囲まれたドームが、川面に薄く映る構図。「足腰が動く限り、描き続けたい」(東海右佐衛門直柄)

(2011年8月6日夕刊掲載)

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