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被爆者援護の拡充検討 厚労省16年度 区域外「黒い雨」相談

 厚生労働省が2016年度、被爆者援護施策の拡充を検討していることが24日、分かった。広島原爆の「黒い雨」に国の援護対象区域外で遭った人たちを対象にした相談事業の強化や、原爆症認定審査の迅速化などで、関連経費を16年度予算案の概算要求に盛り込む方針でいる。

 黒い雨の相談事業の強化は、利用者が減少している状況を考慮した。外出しにくいお年寄りたちの相談を受けるため新たに戸別訪問に取り組むことや、相談会場までの交通費の助成制度の創設などを検討する。

 原爆症認定をめぐっては、13年12月の審査基準見直しに伴い、申請内容の多様化や申請数の増加で審査が長期化するケースが出ている。平均年齢が80歳を超え、高齢化が進む被爆者に配慮し、原則6カ月以内で審査を終えるよう事務作業の見直しに着手する。

 また、被爆2世健診に関し、市町村のがん検診の対象になっていない血液がんの一種「多発性骨髄腫」の検査の追加を検討。被爆の記憶の継承や原爆死没者追悼につながるとして、被爆建物の保存支援や、自治体と国による海外での原爆展開催の予算確保も目指す。

 厚労省は、被爆者援護施策の拡充方針を、自民党の「被爆者救済を進める議員連盟」(河村建夫会長)の要請を踏まえて決めた。同議連は24日、塩崎恭久厚労相宛ての申し入れ書を提出した。厚労省被爆者援護対策室は「予算編成の過程で、より多くの援護施策を実現できるよう取り組む」としている。(藤村潤平)

(2015年7月25日朝刊掲載)

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