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ヒロシマ70年 原点受け継ぐ 原爆の日 関連番組・コンサート

 ことしも原爆の日が巡りくる。広島の各テレビ局は、70年の歳月に思いをはせながら、原点を見詰め、継承の在り方を探る特別番組を放送する。被爆地から平和を発信するコンサートも相次ぐ。(余村泰樹)

広島テレビ 学徒の悲劇 朗読

■テレビ

 広島テレビは8月1日午後1時半からの「いしぶみ~忘れない。あなたたちのことを」で、建物疎開作業中に321人の生徒が亡くなった旧制広島二中の悲劇を遺族の手記で見詰める。1969年に杉村春子の朗読で評価された番組をリメーク。今回は朗読を綾瀬はるか、脚本・演出を映画監督是枝裕和が担当し、ジャーナリスト池上彰が遺族や関係者を取材した。是枝は「残された人が死をどう受け止め、受け継ぎながら生きてきたかにも迫りたい」と語る。

 NHKは6日午後7時半から、NHKスペシャル「きのこ雲の下で何が起きていたのか」を放送。原爆投下3時間後の御幸橋で撮影された写真の2人や、その場に居合わせた30人以上の被爆者の証言などから、きのこ雲の下の実像を浮かび上がらせる。「一番電車が走った」(10日午後7時半)「赤レンガ」(9月11日午後7時半)とドラマにも力を入れる。

 中国放送は7月26日深夜1時5分から、「母子草の花~原爆小頭症患者 母と子の70年」で原爆小頭症患者と母親の歩みをたどる。差別の中、子を守り続けた母親は昨年世を去り、子が1人残されている現状を世に問う。8月15日午後3時からの「Since1945~戦後70年広島スポーツのキセキ」では、壊滅した広島の復興の原動力になったスポーツに焦点を当て、秘話を探る。

 広島ホームテレビが6日午前8時半から放送する「宿命―トルーマンの孫として」は、原爆投下を命じた米大統領の孫ダニエルを取材。和解を求めて訪れた被爆地で謝罪を求められ、その後、被爆者の証言を集めてきたダニエルが今伝えようとする思いに迫る。

 テレビ新広島は6日午前9時50分から、「母に抱かれて~胎内被爆者の70年」。昨年8月に全国組織を初めて設立した胎内被爆者の姿から、平和の継承の在り方を考える。

RCCラジオ 市民の夢 赤ヘルの感動

■ラジオ

 RCCラジオは8月6日正午から、重松清の同名小説を原作にしたドラマ「赤ヘル1975」を送る。キャストは広島在住の小中学生が中心。当時のラジオ野球中継も交えながら、カープ初優勝の感動を届ける。

 広島エフエムは9日午後7時からの30分番組で、焦土に立った体験を原点に、もの作りを続けた故栄久庵憲司に焦点を当てる。ゆかりの人々にインタビューし、3~14日の5分番組とともに人物像に迫る。NHKラジオ第1は6日午後8時5分から、「被爆者の心を受け継ぐ」と題し、未来に向け何ができるかを考える。

広島ゆかりの音楽家共演

■コンサート

 広島交響楽団は、世界的ピアニストのマルタ・アルゲリッチを迎える「平和の夕べ」コンサートを、広島市中区の広島文化学園HBGホールで8月5日、東京のサントリーホールで11日に開く。5日のチケットは完売。広響事務局Tel082(532)3080。

 広島ゆかりの多彩な音楽家による「ヒロシマ平和祈念コンサート」は1、2の両日午後3時、中区のJMSアステールプラザである。「ウルトラ音楽の父」と呼ばれる冬木透が作曲、児童文学作家の那須正幹が作詞した「ふるさとの詩」や三次在住の横山菁児作曲の「そして 祈り」を初演。錦織健や山崎伸子ら多彩な出演者が集う。西区民文化センターTel082(234)1960。

 9日午後3時から中区の上野学園ホールである「人の心に平和のとりでを築くコンサート」は、東京都交響楽団音楽監督の大野和士が指揮。ベートーベンの交響曲第9番「合唱」に思いを乗せる。NPO法人音楽は平和を運ぶTel082(247)8604。

 各国で活躍するオーケストラ奏者でつくる「Musica14・8」は1日午後2時、中区の日本福音ルーテル広島教会で演奏会を開く。核戦争勃発の危機にあった冷戦時代に東西それぞれで響いた鎮魂の調べに平和の願いを込める。ムジカパクスTel082(238)3936。

 「音楽と朗読による 原民喜の世界」は2日午後3時半、中区のエリザベト音楽大セシリアホールである。被爆体験に基づく民喜の一連の作品から構成した朗読に音楽を交え、最後は民喜の「永遠のみどり」に尾上和彦がメロディーを付けた曲を歌う。事務局Tel090(1181)3075。=敬称略

(2015年7月25日朝刊掲載)

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