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戦没画学生作品「叫び聞こえる」 「無言館」窪島さん講演 広島市中区

 戦没画学生慰霊美術館「無言館」(長野県上田市)で館主を務める窪島誠一郎さん(73)が25日、広島市中区で講演し、戦死した画学生が残した作品の意義について語った。

 窪島さんは36年前、早世の画家らの絵を収める「信濃デッサン館」を上田市に設立。催しに招いた洋画家野見山暁治氏から、戦死した同窓らの絵の散逸に心を痛めていると聞き、それが「無言館」設立の契機になったことなどを語った。

 「戦争さえなければ生きていい絵を残しただろう。無言館の作品は傑作とはいえないかもしれないが、戦時中でも絵筆を離さなかった人間の希望を教えてくれる」と説明。「絵の前に立つと叫びが聞こえる。直接の戦争体験者でなくても、新たな叫びを起こし、伝えていくことができる」と、継承の可能性を述べた。

 戦後70年を記念し、日本美術家連盟中国地区講演会実行委員会が開き、約200人が耳を傾けた。

(2015年7月26日朝刊掲載)

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