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広島の平和公園 異例受け入れ策 世界ジャンボリー 期間中に2万4000人 

 山口市で28日~8月8日に開かれるボーイスカウトの世界大会「世界スカウトジャンボリー」で、世界約150の国と地域のスカウトたち計約2万4千人が、広島市中区の平和記念公園を平和学習で訪れる。原爆資料館の1年間の外国人入館者の1割を超える規模だ。主催するボーイスカウト日本連盟や同資料館は、バスのルートを分散させたり、資料館の開館時間を早めたりするなど、異例の対策を講じて迎える。(根石大輔)

 スカウトたちは30日~8月1日と3~5日の計6日間、1日4千人ずつの少年少女たちが訪問。各日ともバス100台に分乗し、午前6時から20分置きに20台ずつ山口を出発する。広島市内では通勤ラッシュを避けるため、市中心部に入るルートを三つ想定。時間帯や渋滞状況に応じてバスを振り分け、同公園には午前8時~9時半ごろに順次到着し、スカウトを下車させる。バスは市内の各業者の駐車場を利用する。

 資料館は通常より30分早い午前8時に開館。館内の見学のほか、被爆体験記の朗読や折り鶴作りを予定する。帰りのバスは午後2時ごろから10分置きに10台ずつ同公園を出発する。

 平和学習は、スカウトたちに被爆の実情を学んでもらい、帰国後にメッセンジャーになってもらおうと、同連盟が企画。過去最多を記録した昨年度の資料館の外国人入館者数(23万4360人)の1割を超える規模となるため、広島県警や市と混雑回避の方法を協議していた。2013年8月に山口市であった日本ジャンボリーでも1日に約4千人が平和学習で広島を訪れたが、同様の対策で目立った混雑はなかったという。

 「国内外を含め、これだけの規模の平和学習は例がない。世界の若者に被爆の実相を知ってもらうことは大変意義深く、できるだけ円滑に見学できるよう工夫した」と市平和推進課。同連盟のジャンボリー広島事務所の広川剛所長は「6日の平和記念式典を控えて多くの訪問が予想される。混雑が最小限になるよう努める」と話している。

世界スカウトジャンボリー
 4年に1回、世界スカウト機構に加盟する162の国と地域のボーイスカウトたちが集まり、キャンプ生活を送りながら交流を深める。今回は山口市阿知須のきらら浜を主会場に開かれ、約150の国と地域から約3万4千人が参加する予定。これまでに22回開かれ、国内での開催は1971年の静岡県以来、44年ぶりとなる。

(2015年7月26日朝刊掲載)

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