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原爆の悲劇 刻んだ伝言板 袋町国民学校の壁 不明者捜索の物語 広島市中区で語り劇 平和の尊さ伝える

 原爆投下直後、広島市中心部の袋町国民学校(現袋町小)の校舎の壁に行方不明者を捜す人たちが記した「伝言板」をめぐる語り劇が25日、広島市中区で上演された。近づく、被爆70年の原爆の日。親子連れたち約50人が鑑賞し、平和の尊さをかみしめた。(久保友美恵)

 同校2年の少女とその母親が主人公の創作劇。原爆が落とされる前のつつましい母子の日常があの日に一転。「会えるまでここにいなさい」。行方不明となった娘を案じる母親の伝言や戦後の苦悩を、劇団「花子ちゃんとそのお友だち」の阿部頼繁さん(61)=府中町=たち3人が情感たっぷりに語り、演じた。

 2008年に阿部さんが創作。戦争について市民に考えてもらおうと披露した。子ども2人と訪れた中区の菓子店経営、谷川由紀子さん(40)は「2月に亡くなった被爆者の祖母を思いながら見た。戦争の苦しみや平和のありがたさをじっくり考えたい」と話した。

(2015年7月26日朝刊掲載)

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