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平和記念式典あいさつ <要旨>

湯崎英彦広島県知事

 66年前の今日、広島の街は一瞬にして壊滅し、多くの尊い生命(いのち)が失われました。

 私たち広島県民は、その惨禍と、今なお続く被爆者の苦しみを決して忘れることなく、核兵器のない恒久平和の実現を強く訴え続けて参りました。

 しかし、世界では今なお、多数の核兵器が保有され、核兵器の開発や拡散の脅威は依然として存在しています。人類初の被爆地の知事として、核兵器のない平和な国際社会を築くための歩みを、ここ広島から、具体的に進めていきたいと考えています。

 世界から核兵器を廃絶するためには、核兵器の削減と廃絶の具体的なプロセスを構築し実行していくことが必要となります。また、紛争や貧困など平和の実現に対する障害を除去する取り組みも必要です。さらに、現行の「核抑止論」に替わる新たな国際的な安全保障体制の構築も必要となります。私は、これらの三つの課題の解決を呼びかけます。

 そして、世界がその実現のために新たな理論を構築し、実践し、メッセージを発信してグローバルな機運を高めるという、三つの行動を提案します。

 私は、高齢化が進んでいる被爆者の実情に沿った援護が受けられるよう、被爆者援護制度のさらなる充実に全力を尽くします。

 さらに、あらゆる被ばく者の方々に対する責務として、広島が、国際社会の平和のための取り組みの拠点となり、核兵器のない、誰もが幸せに豊かに暮らすことのできる世界を築いていくために取り組むことを誓います。


潘基文国連事務総長メッセージ <要旨>

 8月6日が訪れるたび、世界は追悼、敬意、内省そして新たな決意の時を迎えます。

 あの日、犠牲となられた幾万もの男性、女性、そして子どもたちを追悼するとともに、あのような惨事が二度と繰り返されないようにと、若い世代に自らの体験を語ってきた被爆者の方々に敬意を表します。

 今日は、核兵器のない世界について考える機会でもあります。あらん限りの理性、情熱、想像力で、この目標を追求することをあらためて決意する日です。

 昨年、私は国連事務総長として初めて、この平和記念式典に参列しました。国連憲章の目的と原則を全世界が厳守することの重要性をこれまで以上に確信しました。憲章には、武力による威嚇または武力の行使を慎む義務、紛争を平和的手段により解決する責務、軍備縮小と軍備規制を遂行する必要性がうたわれています。

 核軍縮がとりわけ重要であるのは、もしそれを達成できなければ、その他の目標の達成も極めて危うくなるからです。核軍縮こそが国際平和と安全保障に大きく貢献するのであり、今すぐ遂行されるべきものなのです。

 これは、世界中の人々を結びつける大義です。今日の不完全な世界より、より人道的で平和な世界を築くという私たちの責任と共通の人間性を思い起こさせる大義です。

 この偉大な目標が最終的に達成されるまで、皆さまと共に努力し続けることをあらためて誓います。

(2011年8月7日朝刊掲載)

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