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平和訴え 写真・水墨画展 広島県府中市の加茂さん あすから

 広島県府中市栗柄町の元小学校長で、福山地区被爆教職員の会会長の加茂一三さん(88)が29日から、同市府中町の市立図書館で写真・水墨画展を開く。原爆ドーム(広島市中区)の墨彩画など平和を題材にした約10点を含む約50点を展示する。8月10日まで。無料。

 加茂さんは1988年3月、同市の南小校長で定年退職。写真や絵を趣味で楽しんでいた。2012年に原爆ドームの墨彩画を描いて以降、平和への思いを込めた作品に取り組むようになったという。「被爆70年が近づき、残りの人生を思う時、戦争をより意識するようになった」

 加茂さんは、広島師範学校(現広島大)在学中の1945年8月6日、動員先の金輪島(広島市南区)から原爆のきのこ雲を見た。「地上近くが真っ赤に染まっていた」と振り返る。

 救援で市街地に入り、真っ黒になった100人以上の遺体が並ぶ光景を目撃。けが人が収容された学校は水を求める声やうめき声であふれていた。「次々に人が亡くなり、大八車に遺体を山積みにして川辺の焼き場に運んでいた」

 原爆ドームの墨彩画のほか、広島市の8月6日の平和記念式典など平和記念公園で撮影した写真が並ぶ。加茂さんは「文化に触れて感動する心は平和につながると信じている」と話している。(筒井晴信)

(2015年7月28日朝刊掲載)

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