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連載・特集

原爆ドーム2015 <1> 当時のまま 核兵器の罪問い70年

 普段は立ち入りが制限されている内部に立つと、鉄骨の隙間から70年前のあの日と同じ青空がのぞく。内側には補強のための骨組み。原爆ドーム(広島市中区)は苦しみに耐えるかのように今も静かにたたずみ、核兵器の罪を世界に問い続ける。

 ドームの永久保存が決まったのは1966年。「惨劇を忘れないために」「思い出すのも嫌だから取り壊せ」―。賛否が渦巻く中、広島市議会が満場一致で保存を決議した。保存工事に必要な費用は募金で募り、目標の4千万円を上回る6600万円が集まった。

 ドームは100年前に広島県物産陳列館として建設され、後に県産業奨励館に改称された。廿日市市の槙田千鶴枝さん(70)は、夫の祖母が奨励館職員として働いた縁で奨励館やドームを紹介する活動をしている。「広島の経済と文化を支えた歴史を伝え、原爆の恐ろしさを伝える役割は今も変わらない」(今井裕希)

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 ヒロシマはこの夏、原爆投下から70年を迎える。100年前に誕生し、原爆で廃虚となった原爆ドームも節目の年となる。さまざまな角度からドームの今を追った。

(2015年7月28日朝刊掲載)

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